ちいさき花巻頭

園長コラム

2019年02月園長コラム

2月5日は1597年に長崎で処刑された日本二十六聖人の記念日です。豊臣秀吉の命で都と大阪で宣教師と信徒24人が捕らえられ見せしめのために引き回された後、厳しい寒さのなか処刑地の長崎へ向かいました。途中で2名が自ら申し出てそれに加わり、26名が全行程580キロにも及ぶ道のりを連日裸足で歩かされました。この中には14歳のトマス小崎とその父ミゲルも含まれていました。長崎へと向かう途中の1月19日に尾道を出て三原城に泊まった一行の中のトマス小崎は牢番の親切で紙と筆を手に入れることができ、母と幼い兄弟に向けて手紙を書いています。この手紙は父ミゲルに託されましたが京都に届けるすべもなく、父ミゲルはこれを懐に入れたまま殉教しました。その後血に染まった手紙がミゲルの遺体から見つかりました。この手紙は当時長崎にいたポルトガル人司祭がポルトガル語に訳しローマのイエズス会本部に送り、今でも保管されています。14歳のトマス小崎はこの手紙の中で永遠の命の信仰をあらわし、犯した罪を深く悔い改め、勇気をもって死に向かい、再び天国で会えるように信仰を保つよう母を励ましています。  この26名は日本で初めての殉教者で、16世紀から18世紀の半ばまで日本でキリストのために命を捧げた多くの殉教者の初穂となったのでした。状況が変化し、信仰の自由が認められているこの現代社会で殉教者のことを思い起こし、学ばなければならないことが多くあります。トマス小崎は手紙に「人々からのどのようなことに対しても忍耐し、大きな愛徳を持つようにしてください。」と書いています。これは「敵であっても隣人を愛しなさい」というイエスの教えの実践をあらわしているのです。様々な場面で愛をもって接することが難しい時でも、「人を愛する」こと。この愛に満ちた生き方は、今の生活の中に本当の幸福をもたらし、また天国の永遠の幸福を約束するのです。この愛の教えは子どもを育てる上で大切な核となるのです。

今、園児たちは生活発表展に向けて絵を描いたり粘土などで制作物を作ったりしています。私もみんなの頑張っている姿をクラスに入って見ています。作ることによって子どもたちは自分自身をその作品に表現しています。また作業を進めていく中でハサミや縫い針を使うことは自分の集中力を養うことにも通じます。今年も生活発表展を楽しみにしています。 

園長 アルナルド・ネグリ

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